国際交流

ミシガン大学 日米認知症ケアセミナー
(2007.8.27~31)

ミシガン大学 日米認知症ケアセミナー認知症の症状は中核的な記憶障害と、周辺的な部分である行動の劇的な変化に分けられるが、周辺的な部分は周りの対応により、その変化の程度をかなり軽減することができると言われている。
そのためには、現れた行動の異常性や困難さに惑わされることなく、認知症の人の思いや訴えを正しく受け止め対応することが求められているが、家族はもとより認知症のケアに関わる専門家の間においても、これらの課題が十分に克服されているとはいえない現実がある。

去る8月27日から31日まで、米国ミシガン州アナーバーにあるミシガン大学で「認知症の理想的なケア」をテーマに、日米の高齢者ケアに関わる専門家によるセミナーが開催された。1991年にミシガン大学のソーシャルワーク部長ルース・キャンベル氏らの提案で始められた「高齢者を支える学際的チームアプローチ推進ネットワーク」(通称ミシガンネット)は、高齢者ケアの向上を目指し日米の専門家の交流を中心に、20年近くにわたり様々な活動を続けてきている。

今年もその活動の一環としてテーマを「認知症ケア」に絞り、日米の専門家約40名(医師・看護師・社会福祉士・臨床心理士・ケアマネジャーなど)が集まり、認知症ケアだけでなく、家族介護者との連携などもテーマとして、5つのグループに分かれての少人数による徹底した議論とその成果発表を行った。

ILCは介護支えあい相談事業(電話相談)をとおして7年にわたり、家族介護者の悩みを聞いてきた立場からこのセミナーに参加した。

日米では文化・制度が異なるにもかかわらず、認知症ケアをめぐる課題には共通するものが多い。介護者のサポート(心理的、身体的、経済的)、地域づくり、医療システムなどについてさまざまな提言が示され、地域がチームとして認知症の人をサポートしていくという方向性を共有することができた。

来年は日本でのセミナー開催が予定されており、今後もこのような草の根レベルでの交流と実践が期待される。

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