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わが国は人口の高齢化とともに少子化が急速に進み、21世紀半ばには総人口は現在より約2割減少するとともに、国民の3人に1人が65歳以上となることが見込まれています。このようなかつて経験したことのない時代を前に、少子化の進行がもたらす将来の社会・経済への影響が危惧されています。
そのような状況下にあって、伊部英男を主査とする委員会は厚生省より助成を受け、高野陽日本子ども家庭総合研究所部長を主任研究者とする「少子化についての専門的研究」の第4テーマ「少子化対策に関する国際比較研究」を担当し、3年間にわたる調査研究を行ってきました。本報告書はその成果をまとめたものです。 今日の日本社会においては「少子化対策」という、それ自体で完結した政策は存在しません。少子化対策とは、「出生率に影響を与える対策」ということよりももっと広く、「男女共同参画型社会を目ざす」といったような、日本社会のあり方に関する理念を各諸制度の中に具体化するという新しいアプローチが必要であり、かつ現実的で漸進的なポリシー・ミックスを構想することが有効であろうと考えられます。
研究会では、わが国の出生率低下に影響を与えている制度的諸要因を探るとともに、国際共同研究を通じて家族政策、社会保険、税制、雇用といった分野にわたり、広い意味で各国の少子化対策について調査・分析し、政策提言に結びつけることを目的としてきました。
特に平成11年度は3年間の締めくくりにあたり、手厚い家族政策や子育て支援策など、メニューが豊富なフランスを取り上げ、総合的な比較研究を行うとともに最終的なまとめとして日仏ワークショップおよびセミナーを開催し、広く一般に問題提起を試みました。
<研究会メンバー>
| 伊部英男 |
国際長寿センター会長 |
| 井口 泰 |
関西学院大学経済学部教授 |
| 金澤史男 |
横浜国立大学経済学部教授 |
| 白波瀬佐和子 |
国立社会保障・人口問題研究所
社会保障応用分析研究部第2室長 |
| 都村敦子 |
中京大学経済学部教授 |
| 府川哲夫 |
国立社会保障・人口問題研究所
社会保障基礎理論研究部長 |
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