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国際長寿センターは、「介護支え合い相談・研究事業」を実施し、電話とファックスによる介護の悩み相談事業を行っています。
この事業は、一定の研修を受けた相談員が、高齢者の介護にあたる家族からの相談を受け、介護情報の提供や、介護の悩みを聴き問題解決の方策を一緒に考えることを目的としています。併せて相談を通じて見えてくる介護に関する諸課題を分析・研究し、その成果を国内外に発信・情報提供しています。
2000年4月に介護保険が施行され、当相談はその半年後の10月に、介護保険運用にあたっての側面整備の役割を担ってスタートしました。本年度は改正介護保険法が成立し、2006年4月からの本格実施に向けて、介護保険情報の伝達という役割を再認識しました。
また、厚生労働省は認知症への名称変更を機会に、本年度を「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」の活動開始の年と位置づけ、5年後には全国に100万人の「認知症サポーター」の誕生を目指しています。国際長寿センターは「認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議」の事務局として、電話相談員も認知症サポーター養成講座を受講し、認知症の人やその家族を支える活動の一端を担っています。
本報告書においては、2001年度から2005年度までの5年間の相談の推移を分析・研究することにより、高齢者介護にかかわる問題点の把握と課題の提出を試みました。また、本年度に当相談室に寄せられた相談事例の中から、介護保険に関するものと認知症の人を介護する家族からの事例を取り上げました。認知症に関する相談は、現在7割に及んでおり、認知症の人を介護する困難さと、介護する家族へのケアの必要性が浮かび上がってきました。
高齢者を取り巻く環境が大きく変わる中で、家族介護者はさまざまな問題に直面しています。本報告書がその一端をお示しし、問題解決の一助になることができれば幸いです。
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