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国際長寿センター INTERNATIONAL LONGEVITY CENTER JAPAN
ホーム > 海外情報(Policy Reportトップ) > 2007 ILC Policy Report 1月号
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■国際長寿センター米国(ILC-USA):高齢者の健康における睡眠の役割を分析

ILC-USAは報告書「健康的な加齢における睡眠の役割」"The Role of Sleep in Healthy Aging"を刊行し、睡眠は高齢者の健康の基礎となるものなのに、無視されがちであると述べている。本書では、睡眠障害が高齢者の中で広がっていることや、その影響について説明している。睡眠障害を持つ高齢者はうつ状態、注意力・記憶力の低下、日中の眠気などに見舞われがちで、転倒もしやすく、様々な病気を抱える傾向がある。本書では不眠症などの睡眠障害は、認知行動療法(cognitive-behavioral therapy)や薬剤投与によって改善し得ることを明らかにしている。
本報告書は、健康的な加齢のためには睡眠が重要であり、睡眠障害は加齢に伴うあたりまえのことではなく治療が可能であるということを、すべての高齢者と医療介護提供者に対して啓蒙し、睡眠障害対策の改善を進めることを目的とする、ILCの啓発キャンペーンの一環となっている。

参照
http://www.ilcusa.org/pub/briefs.htm

国際ニュース
■議会予算局Congressional Budget Office(CBO)

下記の2冊を刊行。
「ソーシャル・セキュリティは進歩的か」"Is Social Security Progressive?"では、ソーシャル・セキュリティのプログラムが、生涯賃金のより高額者からの収入をより低額者に再配分するという点で進歩的であると分析している。ソーシャル・セキュリティの給付方式では生涯賃金のより低額の人の方が、生涯賃金に対する月額給付の割合が高くなるように設計されている。障害者やソーシャル・セキュリティ受給者の扶養家族や遺族への給付は、その性質から考えると生涯賃金の低額者への給付であり、このこともソーシャル・セキュリティが進歩的なプログラムであることを明確に示している。
参照
http://www.cbo.gov/ftpdocs/77xx/doc7705/12-15-
Progressivity-SS.pdf

「メディケア保険料支援システムの設計」"Designing a Premium Support System for Medicare"では、メディケア保険料支援システムのコンセプトについて明らかにし、その制度設計に含まれる重要事項を検証している。 このシステムは、従来の出来高払い方式や、民間のマネージドプランなどを通して受給者がメディケア適用を得るために必要とする一定の金額を連邦政府が負担するというものである。このようなシステムには賛否があり、政府にとってはメディケアの支出の急速な増加を管理しやすくなるが、受給者にとっては保険料支払いの大幅増につながる危険性がある。
参照
http://www.cbo.gov/ftpdocs/76xx/doc7697/12-08-Medicare.pdf

■保健福祉省Department of Health and Human Services(HHS):介護情報に関するウェブサイトを立ち上げ

HHSは「介護に関する国立情報センター」"National Clearinghouse for Long-Term Care Information"と称するウェブサイトを立ち上げ、介護計画、サービスと財政問題、介護計画づくりの支援ツールなどに関する総合的な情報提供を行う。長期介護の様々な選択肢や、今後の計画の必要性に関して認識を広めることがこのウェブサイトの目的である。
参照
http://www.longtermcare.gov/LTC/Main_Site/index.aspxpr07-05.html

■高齢化関連統計に関する連邦機関合同フォーラムFederal Inter-Agency Forum on Aging-Related Statistics:米国の高齢者に関するデータ集を刊行

連邦機関合同フォーラムは「米国の高齢者に関するデータ集」"Data Sources on Older Americans"を刊行。これは政府が行った調査とその成果である高齢化に関する統計的な情報を要約したものである。本書には各データの情報源がリストアップされ、調査の目的、意図、取り上げたテーマやデータ参照方法などが書かれている。
参照
http://www.agingstats.gov/

国際ニュース
■AGE 欧州高齢者プラットフォームAGE-The European Older People's Platform:欧州の年齢差別の実態−偏見是正へ提言

2001年1月に設立されたNPOプラットフォームであるAGEは冊子「全年代の欧州社会に向けて」"Towards a European Society of All Ages"を刊行し、各国とEU全域における年齢差別に立ち向かうことの重要性を強調し、そうした対策を実現することで社会に持たらされる価値を明らかにしようとしている。本冊子では生活のあらゆる局面で起きている年齢差別の実態を明らかにし、雇用、年金、医療、交通、都市開発、住宅、研究、教育など、様々な分野における政策構想が、世代間の公平性と団結を促すために調整されることが必要だと述べている。また、本冊子は高齢者のポジティブなイメージを促進し、年齢差別者の偏見を正すためにも高齢者が重要な人的資源であるという認識を向上させることを目的としている。
参照
http://www.age-platform.org/EN/

■中国:増加する高齢者への対策について提言

中国の国務院情報局The State Council Information Officeは「中国の高齢者向け事業の展開」"The Development of China's Undertaking for the Aged"と題する白書を刊行した。同書は増加する60歳以上の人口(2005年で1億4400万人、総人口の11%)に対する中国の介護の取り組みを考察している。
中国政府は、高齢者のための努力目標を次のように説明している。1)すべての高齢者が適切な医療介護を提供され、享受されること、2)すべての高齢者が新しいことを学ぶだけでなく自分の経験を伝える機会を得られること、3)すべての高齢者が余生を楽しみつつ、自分が社会に対してできることを行う機会が得られるべきこと。また、中国政府は高齢者社会保障制度、高齢者への保健医療介護、高齢社会のための社会的サービス、高齢者向けの教養体験など、様々な分野における進展と課題について明らかにした。
本白書は、中国政府は経済や社会の発展の恩恵を高齢者が享受できるよう高齢者のための事業促進に、さらに有効な戦略を展開するという公約を挙げて締めくくっている。
参照
http://www.china.org.cn/english/China/191990.htm

■日本:急速な高齢化対応にロボットを活用

経済産業省は「ロボット大賞2006」の入選者を発表した。サービスロボット部門で入賞した「マイスプーン」というロボットはジョイスティックの操作で高齢者や障害者の食事を補助することができるもので、日本や欧州ではすでに3,400ドルで販売されている。ペットの代用となる「パロ」という毛皮製のアザラシのロボットも入賞したが、これも日本の介護施設などでペット療法用に使われている。日本ではロボットは急速な高齢化に対応し、人手不足の影響を緩和する一つの手段と見なされている。日本における2005年のロボットの市場規模は6,700億円に達しており、2025年までには62兆円になると期待されている。
参照
http://www.meti.go.jp/

■国連:広範囲な社会経済的問題における進展を全世界的に分析

国連の経済社会理事会Economic and Social Councilは「第2回高齢化に関する世界大会以後の高齢化の分野での主な発展」"Major development in the area of ageing since the Second World Assembly on Ageing"に関する事務総長報告を刊行した。本報告書は社会保障制度、高齢者の労働市場参加、医療制度・社会福祉への取り組み、年齢差別とのたたかいなど、広範囲な社会経済的問題における進展について分析している。また、1ヶ国および多国間双方の高齢化研究の重要性を指摘し、この分野の最近の取り組みについて報告している。開発途上国における社会保障計画実施の取り組み、高齢者雇用促進の必要性の認識拡大、高齢者の権利擁護の計画など、多くの分野で前進があったと述べている。様々な分野での進展の度合いは世界中では依然として均質にはなっていないと述べ、高齢化の課題に取り組むためにあらゆるレベルでの活動の連携を促すよう提案している。
参照
http://www.un.org/esa/socdev/csd/csocd2007.htm

■世界保健機構World Health Organization (WHO):都市環境における身体活動促進を提案

WHOは「都市環境における身体活動と活動的な生活の促進」"Promoting physical activity and active living in urban environments"を刊行。行政は地域レベルでも国全体としても慢性病、肥満、座ったままの生活の急速な増加という課題に直面し、その主な要因は身体活動の減少にあることを明らかにしている。
本報告では身体活動はすべての年齢で健康に役立つことを強調し、活動的に年をとることが高齢者の健康に劇的な変化を与えると述べている。都市と自然環境作りにおける地方行政府の役割と、これらの「作られた環境」が身体活動を促進する点と妨げとなる点について分析している。また、都市環境における身体活動に関する科学的根拠を列挙し、これに基づいた身体活動を促すための提案を行っている。
参照
ttp://www.euro.who.int/document/e89498.pdf

ILCトピックス:高齢化に関する研究
■高齢化研究:認知能力の健康状況−認知能力訓練は高齢者に有効という科学的証拠が増加

Journal of the American Medical Associationの12月20日号に掲載された研究によると、ある種の頭の体操によって、高齢者の認知能力の衰えを5年間も遅らせることができることが明らかになった。この研究では特定の認知能力(記憶、理解、計算速度など)の訓練を受けた人と受けなかった人を比較し、訓練を受けた人の方が5年後にもそれぞれの分野でテスト結果が良かった。また、訓練を受けた人の方が食事の準備、お金の管理、家事仕事など、日常生活上の仕事もより無難に行った。本研究は、国立衛生研究所(NIH)の資金提供によるものである。
参照
http://www.nih.gov/news/pr/dec2006/nia-19.htm

■介護研究:高齢者介護という複雑で課題の多い仕事の特質について報告

Archives of Internal Medicineの1月8日号掲載の記事によると、最晩年の患者を介護する人の2/3以上は、自分たちの役割はやりがいのあるものだと感じている。こうした介護者の多くは精神的・肉体的な緊張はありながらも、介護をした人から財政的援助など様々な恩恵を受けていることを明らかにしている。
参照
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/full/167/1/40

家族介護同盟Family Caregiver Allianceが発行したデータ報告書は、慢性病の人の介護をしている間に介護者が受けることがある身体的、精神的なマイナスの影響を明らかにしている。本報告書はこのような事態を公衆衛生の問題と位置づけ、公共政策の観点から、家族介護者に対する適切な心のケアサービス、医療ケア、支援サービスの拡大を提案している。
参照
http://caregiver.org/caregiver/jsp/content_node.jsp?nodeid=1822

NPOだより
■ボストン大学定年研究センターBoston College Center for Retirement Research:雇用主によるベビーブーマー世代の就労予想調査結果を発表

「雇用主調査:ベビーブーマーの4人に1人は退職をできず、望まず」"Employer Survey:1 of 4 Boomers Won't Retire Because They Can't"を刊行。現在50歳代の就労者の半数は退職への準備ができておらず、全就労者の1/4は備えもなく、もっと長期に働き続けなければならないと雇用主はとらえている。近日刊行予定の第2報告書ではまだ仕事を続けたいと望む就労者に対して予想される雇用主の反応について報告される予定である。
参照
http://www.bc.edu/centers/crr/wob_6.shtml

■カイザーファミリー財団Kaiser Family Foundation:大企業は退職者への薬剤給付継続を予定

カイザーファミリー財団は世界的人材サービス会社Hewitt Associatesと共同で「2006年度退職者の医療給付調査」"Retiree Health Benefits Examined: Findings from the Kaiser/Hewitt 2006 Survey on Retiree Health Benefits"を刊行。
大企業経営者の80%近くは退職者に対する薬剤給付を2007年も継続し、その費用の一部を補填するために政府からの補助金を受ける予定であることを明らかにしている。しかし、保険料の増額などによって雇用主自身の負担が増えるなど多くの課題もかかえている。
本報告は、新たな退職者のためにかかる保険給付の財源について注目している。今年退職した65歳以下の労働者については、退職者限定の保険給付に対して退職者と雇用主双方が支払った保険料の合計額は年間平均で6,624ドルであり、そのうち2,724ドルが退職者負担であった。2006年の退職者でメディケアの有資格者に対する企業の最大限のプランでの年間平均医療給付は年間平均3,240ドルで、そのうち退職者の負担額は1,320ドルだった。
参照
http://www.kff.org/medicare/med121306nr.cfm

■全米社会保険学会National Academy of Social Insurance(NASI):医療格差縮小の牽引役としてのメディケアを強調

「人種的・民族的格差の縮小においてメディケアが果たす役割の強化」"Strengthening Medicare's Role in Reducing Racial and Ethnic Health Disparities"を刊行。メディケアは米国で最大の保健医療の買い手であり、規制者であることから、医療格差縮小の牽引役となることが義務付けられていると述べて、下記の5つの分野に関わる17項目を提言した。

  1. 臨床介護の質の向上、
  2. 介護への関わり方の拡大
  3. 医療専門家に多様性と文化的素養を身に付けさせる教育
  4. 格差縮小に責任を持つ保健医療提供者の確保
  5. 格差縮小を行政上の最優先事項にすること

参照
http://www.nasi.org/publications2763/publications_show.htm?
doc_id=430280

■アーバン研究所Urban Institute

下記2冊の報告書を刊行。
「シングルマザーにとっての雇用、ソーシャル・セキュリティ、退職後の影響」"Employment, Social Security, and Future Retirement Outcomes for Single Mothers"において、最近のシングルマザーの雇用率と賃金の上昇は、福祉制度改革と勤労所得税額控除(earned income tax credit:EITC、低所得層が勤労によって得た所得に対して一定率で税額控除する制度)の拡大がその要因の一部であると報告している。
1990年代後半のシングルマザー雇用と勤労所得は将来的にわずかなソーシャル・セキュリティの給付と退職収入をもたらすことにはなるが、多くのシングルマザーは生涯労働所得が低く、配偶者の財政的サポートがないため、退職後は他の女性より経済的状況がかなり悪化すると考えられる。
参照
http://www.urban.org/publications/411396.html
doc_id=430280

「ベビーブーマーはなぜ長期に働くことを計画するか」"Why Do Boomers Plan To Work So Long?"では、ベビーブーマーを戦前生まれの世代と比較し、65歳以上での就労希望が23%も高いことを報告している。これは主に雇用主の退職医療保険加入率の低下、ベビーブーマー世代の高学歴化、確定給付年金の給付水準が低いことに起因するものである。
参照
http://www.urban.org/publications/311386.html

 
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