老年医学保健専門家養成プログラムの財源復活の努力が続いている。
下院の歳出委員会は2007年度の労働・福祉・教育歳出法案で、このプログラムに対する3,150万ドルの歳出案を復活させたが、残念ながら上院の法案には盛り込まれていない。歳出法案は両院でそれぞれ承認を受けなければならないので、依然として老年医学プログラムは危機的な状況にある。この財源が復活しなければ、老年学学術業績賞(GACA)、老年医学教育センター(GECs)の運営、そして老年医学奨学金プログラムが存亡の危機に見舞われる。
「米国の高齢者2006年版:福祉に関する主要指標」"Older Americans Update 2006: Key Indicators
of Well-Being"を刊行。
65歳以上の高齢者の経済及び健康状態、健康上のリスクと保健医療問題に関する広範囲のデータを提示。 65-69歳の就労率は男性で25%(1993年)から34%(2005年)、女性で14%(1985年)から24%(2005年)に増加。70歳以上でも男性の14%、女性の7%が就労している。また、アルツハイマー病について、これが死亡証明書に記載されるようになったためではあるが、65歳以上の死因として糖尿病、インフルエンザ、肺炎を上回ったことに注目している。
2003年11月よりエデルマン・インターナショナルとILC連合体(米国・フランス・英国)が行っている長寿に関する共同研究プロジェクト、「Alliance for Health and the Future」では「ヘルスリテラシー:行動の呼びかけ」"Health Literacy: A Call to Action"を刊行し、「ヘルスリテラシー(health literacy)」の概念を「日常生活において健康に関する理解や判断を適切に行える能力」と定義している。ヘルスリテラシーの乏しい人は救急サービスを受ける頻度が高く、入院回数が増え、医薬品も正しく使用せず、その結果、保健医療の費用の増加を招いているとさまざまな研究結果に出ている。このように、ヘルスリテラシーの不足は、医療システムだけでなく、広く社会全体にも重大な影響を与えている。 政策決定者にはヘルスリテラシーを保健政策の中心に据え、欧州各国での研究と活動を推進し、「ヘルスリテラシー欧州センター(European Centre of Excellence on Health Literacy)」を設立するよう呼びかけている。
参照
http://www.healthandfuture.org/publications/issue_briefs/index.html
英国の財政研究所The Institute for Fiscal StudiesがELSAの第2回調査の結果を報告。高齢者人口全体において、同じ質の保健医療をうけているにもかかわらず、富のレベルと死亡率・疾病率の間に強い相関性があること、貧しい人ほど健康を損ねやすく、若いうちに亡くなる傾向が高いと分析している。第1回と第2回の相次ぐ調査においても、最貧の20%の人々は、最富裕の20%の人よりも死亡率が高くなっている。本報告は、認知機能、退職年齢、貧困と富における問題点や変化についても検証している。
参照
http://www.ifs.org.uk/press.php?publication_id=3657
ILC-UKはメルク財団Merck Company Foundationの支援をうけ「欧州における高齢化と健康の様相」"The State
of Ageing and Health in Europe"を刊行。
本書は、EU加盟25か国における高齢者の健康データ、指標、傾向などを要約したもの。欧州の人は他地域に比べ寿命が長く、より良い生活を送っているが、少数民族や経済的弱者など、弱い立場の人々が健康を害しやすいという不平等が欧州全域に存在する。例えば欧州の貧困高齢者はほとんど全ての慢性病の発症率が30-65%高い。EU全体で65歳以上の10-15%が鬱病にかかっており、心臓疾患の方が疾病率・死亡率とも高いのだが、鬱病は依然として汚名を着せられている。本書は、予防や生活の質を向上させる行動が高齢期に共通の病気を減少させると認識し、初期治療、二次治療、三次治療と社会的介護などの介護との調整を進めることによって高齢者は財政への負担であるという認識を変えるべく「行動の呼びかけ」を行っている。
参照
http://www.ilcuk.org.uk/publications.cfm
※くわしくはこちらをご覧ください。
http://longevity.ilcjapan.org/
三者共同で「欧州人口動態調査・2006年版」"European Demographic Data Sheet, 2006"を刊行、欧州46か国の出生時平均寿命から退職平均年齢まで26の指標を分析している。 欧州の人口は2030年までに25%が65歳以上に、2050年までには20%が80歳以上になる。イタリアは現在65歳以上の人口が19.2%で最も高く、最も低いトルコは5.8%となっている。
参照
http://www.oeaw.ac.at/vid/popeurope/
メットライフ高齢市場研究所は「メットライフ介護費用研究−米国産業の生産力損失」"The MetLife Caregiving Cost Study: Productivity Losses to
US Businesses"を刊行。介護によって、米国の雇用主は年間171-336億ドルの生産力の損失を受けていると推計されている。これらの損失には、従業員の配置転換、常習的欠勤、危急の際の対処、出勤日の中断、無給欠勤、フルタイムからパートタイムへの就労時間の短縮などに関連する費用が含まれる。
本報告はこの問題の様々な側面に焦点を当て、雇用主は高齢者の介護資源がもっと従業員に利用しやすくなるよう、積極的にこの問題に取り組むことが重要だと述べている。
参照
http://www.ilcusa.org/prj/caregiving.htm
※本報告については、「長寿社会グローバル・インフォメーションジャーナル」Vol.2の「国際ニュースから」でもご紹介(日本語)しています。
参照
http://www.ilcjapan.org/foreign/gijpdf/0610_03_2.pdf![]()
7月19日、ブッシュ大統領は胚性幹細胞研究への連邦予算増額を認める「胚性幹細胞研究促進法案」に対し拒否権を行使した。EUでは、胚を破壊して幹細胞を入手することに予算が使えないなどの一定の禁止事項はあるものの2007-2013年の胚幹細胞研究への財政投入の継続が認められている。胚性幹細胞の研究はアルツハイマー病やパーキンソン病などの治療に役立つことが期待されているが、胚を破壊することについての倫理的な問題点があるため論争の的になっている。
アトランティック慈善事業団体と米国保健福祉省(HHS)は高齢者の健康と生活を向上させるべく1,500億ドルの構想を発表した。この構想は官民の連携によって、地域レベルで高齢者の慢性病の管理、栄養や食習慣の改善、運動量の増加、転倒の防止などを促す実証的なプログラムの提供を支援するものである。
参照
http://www.hhs.gov/news/press/2006pres/20060705.html
米国の高齢者の就労機会に関するシリーズの一環として2冊の概要報告を刊行。
「我々は永遠に働くべきなのか?」"Will
We Have to Work Forever?"では、ソーシャル・セキュリティーが退職前の個人収入の減少をどのくらい埋めるかについて論じているが、これは安定した退職生活を送るために人はより長く働かなければならないことを意味している。幸いなことに、より長く働くことは永遠に働かなければならないことを意味するのではなく、現在の賃金代替率(年金所得の対平均所得比率)を維持するためには2030年で確定拠出型年金の加入者は現在より2年、未加入者は3年半長く働く必要があると推計。
参照
http://www.bc.edu/centers/crr/wob_4.shtml
「高齢の従業員に対する雇用主の姿勢−調査結果」"Employer Attitudes towards Older Workers:
Survey Results"では、退職後の生活の安定のためにより長く働くことの重要性を論じるとともに、400の民間企業の雇用主について、高齢の従業員の雇用見通しを調査した。その結果、80%以上の雇用主が、高齢の従業員は若年従業員と同様に、またはそれ以上に魅力があると回答した。しかし、高齢の従業員の中でも管理者や専門技術者の方が一般従業員より雇用の見通しが良いことも明らかとなっている。
参照
http://www.bc.edu/centers/crr/wob_3.shtml
「退職後の医療保険と保健医療支出に必要な蓄え」"Savings Needed to Fund Health
Insurance and Health Care Expenses in Retirement"を刊行。現時点で、65歳で退職した夫婦が平均寿命を生きるとすれば、医療保険の掛け金や保険適応外の支出をまかなうために295,000ドルが必要だと分析している。寿命の延びや医療費の高騰、介護費用などを考えると多くの退職者は、より多くの蓄えが必要である。また、在宅での受給者について、メディケアがカバーするのは保健医療サービスに関連する費用の51%のみであり、残りの49%は大部分個人でまかなわなければならないと述べている。
参照
http://www.ebri.org/publications/ib/index.cfm?fa=ibDisp&content_id=3650
米国ナショナルアカデミーの医学研究所IOMは、「医療事故の防止」"Preventing Medication Errors"を刊行。医療事故は驚くほど多数発生しており、国家財政にも大きな負担になっている。本書は医療事故を減らすための総合的な取り組みをとりあげ、それによって、医師、看護師、薬剤師、などの保健医療産業の担い手や、さらにFDAなどの政府機関、病院等の医療機関や、患者自身が変わると考えている。ミスを防止するための重要な手段として電子処方箋の導入やラベリングがあげられている。
参照
http://www.iom.edu/CMS/3809/22526/35939.aspx
メディケア処方薬プランに加入している高齢者の8割がこのプランに満足しているという調査結果を発表。調査によると、加入者の46%が支出を削減でき、34%はほぼ前年並み、17%が支出増加という結果となっている。回答者の2割はこのプランで大きな問題をかかえており、その多くは健康状態が「まあまあ(fair)」か「よくない(poor)」と答えている。
参照
http://www.kff.org/kaiserpolls/pomr072706nr.cfm
また、メディケイドと介護関連の下記の書籍2冊を刊行。
「メディケイドと介護サービス」"Medicaid and Long Term
Care Services"−メディケイドは介護支出の42%をしめているとして、メディケイドの果たす役割を論じ、メディケイドによって受けられるサービスについて分析。
「メディケイドを受けているナーシングホーム入居者の分析」"Profiles
of Nursing Home Residents on Medicaid"−低所得者層が家族の介護を必要とするとき直面する課題をとりあげ、政策は、こうした家族が直面する課題やニーズを理解してメディケイド支出増加にともなう問題のバランスをとる必要があると報告。
参照
http://www.kff.org/medicaid/index.cfm
証券業界の自主規制機関として、投資家保護の観点に立った公正な市場慣行のルール作り等を行っているNASD(全米証券業協会)が設立したNASD財団は「窮地からの再脱出―なぜ高齢者は経済詐欺犯罪の被害者となるのか」"Off
the Hook Again: Understanding Why the Elderly Are Victimized by Economic Fraud
Crimes"を刊行。高齢者を食い物にする犯罪者のさまざまな策略を明らかにし、高齢者がその犠牲にならないための方策を示している。 投資詐欺で犠牲になる人は実際には経済面で博識の人の方が多い傾向がある。そういう知識だけでなく、詐欺師の巧妙なやり口を見抜き、切り抜けるための防衛能力をつけることが必要。また、もっと多くの不正の事例が報告されて、法律面で取締りの強化を進めることも重要だと述べている。
参照
http://www.nasdfoundation.org/