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国際長寿センター INTERNATIONAL LONGEVITY CENTER JAPAN
ホーム > 海外情報(Policy Reportトップ) > 2006 ILC Policy Report 2月号
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■米国議会:危機にある老年医学プログラムの未来

ブッシュ政権が提出した2007年度予算案では、保健資源事業局Health Resources and Services Administration(HRSA)によって運営される老年医学保健専門家プログラムの予算が削除された。本プログラムは、ここ数年、大統領の予算要求(予算教書)の段階では盛り込まれていなかったが、議会が実際の予算額を付ける歳出予算案を作成する段階で予算を復活させていた。残念ながら、本年については今までとは異なり、議会によって予算は完全に削除された。これは、老年医学保健専門家プログラムのもとで予算が割り当てられる3つのプログラム、すなわち、老年学学術業績賞Geriatrics Academic Career Award(GACA)、老年医学教育センターGeriatrics Education Centers(GECs)、そして医学、歯学、行動・精神医学の老年学指導者研修、に壊滅的な影響を与えることになるだろう。
医師を含む保健医療従事者を適切な養成は、高齢人口のニーズへの対応の中核であるので、この小額ながら重要な予算を復活させるための努力が続けられている。こうしたプログラムの重要性は、先日開催されたホワイトハウス高齢化会議におけるILC-USA理事長ロバート・バトラー氏のスピーチでも強調された(講演内容は、下記のURL参照)。ILC-USAをはじめ多くの団体が、この重要な問題について関心が高まるよう最大の努力をしている。
参照
http://www.ilcusa.org/news/news.htm

国際ニュース
■メディケア・メディケイド サービスセンター Centers for Medicare and Medicaid Services(CMS):ヘルスケア支出、依然として増加

ヘルスケア支出に関する年次報告書を刊行。2004年のヘルスケア支出はGDPの16%に相当する1.9兆ドルと、前年度より7.9%増加した。この増加率は2003年における8.2%よりは少ない。その要因の一つは、ジェネリック薬(※1)と市販薬の利用増加に伴い、処方薬の売上げが下がったことにある。しかし、ヘルスケア支出の増加率は依然として物価と賃金の上昇率を上回り、ここ数年、就労者の保険料支払い額は増えている。消費者、企業、政府の支出の合計が、2004年は一人当たり6,280ドルだった。本書はまた、ヘルスケアの公的支出は「依然として、メディケア(2004年は、3090億ドル)によって大半が占められており、「メディケア医療改革法(医療処方薬、改善および近代化に関する法律)」the Medicare Prescription Drug, Improvement and Modernization Act of 2003 (MMA)によって医師や医療保険などへの支払いが引き上げられたため、メディケア支出は2004年に増加した、と分析。病院と在宅サービスの利用が増え、2004年にはメディケア支出の増加率は8.9%となった(2%上昇)。
参照
http://www.cms.hhs.gov/apps/media/press/release.asp?Counter=1750

※1:ジェネリック薬とは
開発したメーカの特許期間(20〜25年)が切れた後、他のメーカが製造した、同じ成分・同じ効果の安価な処方薬をいう。

■保健福祉省 Department of Health and Human Service (HHS):長期介護の住環境向上について科学技術に期待

保健福祉省の計画・評価次官補事務所The HHS Office of the Assistant Secretary for Planning and Evaluationは、「長期介護の住環境への科学技術導入を妨げる障壁」“Barriers to Implementing Technology in Residential Long-Term Care Settings”と題する報告書を刊行。長期介護の環境など高齢者の生活の中で科学技術が果たしうる重要な役割について論じている。本書は、長期介護をしている住環境に科学技術が役立つと考えられる次の5点、徘徊対応、転倒防止、失禁介護、電話サービス、入浴、に注目している。こうした分野への科学技術の導入には、情報や財源、産業資源が不足しているが、科学技術と長期介護の知識基盤を向上させ、費用効率の高い技術の導入を奨励し、この分野の産業資源の発展を奨励するといった努力をすることによって、その壁は乗り越えられる、と述べている。
参照
http://aspe.hhs.gov/daltcp/reports/techbarr.htm

■国土安全保障省 Department of Homeland Security (DHS):火事と高齢者に関する統計発表

国土安全保障省の消防局 Fire Administration は、「火事と高齢者」“Fire and the Older Adult”と題する報告書を刊行。本書は、火事と高齢者に関する統計をまとめ、高齢者に及ぼす火事のリスク要因について論じている。火事による高齢者の死は、全体平均の2.5倍となっているなど、人口の高齢化が進行するにつれて、火事のリスクがどれほど高まるかが示されている。火事のリスクと性別、人種には関連性があり、高齢の男性は女性よりもかなりリスクが高く、黒人は白人より死亡リスクが高い。高齢者は、嗅覚、視覚、聴覚などの感覚能力および、アルツハイマー病、うつ病などにより精神機能が低下しがちである点についても言及している。こうした障害によって、正常な反応ができる時間が短くなり、火事を引き起こすリスクが高まり、その結果、火事による死亡や負傷が増加する傾向がある。また、高齢者は障害をかかえる確率が高いため、危険性はいっそう高くなる。本書は高齢者のための防火と安全努力についても述べている。
参照
http://www.usfa.dhs.gov/downloads/pdf/publications/fa-300.pdf

国際ニュース
■AXA:各国別の退職に関する調査結果を報告

国際的金融サービス会社であるAXAは、「2006年 退職に関する調査」“2006 Retirement Scope Survey”を発行し、14ヶ国の就労者と退職者双方の退職に対する考え方の調査結果を報告した。退職年齢についてどう考えるか、いつまで効率的な労働ができるか、退職したら何を計画し実行するか、退職時に金銭的ゆとりが実際にあるか、また、あると実感できるか等、広範囲にわたる各国別データを提供している。英国、米国、フランス等多くの西欧諸国では、就労者は55歳を理想的な退職年齢と考えているが実際の退職年齢は61または62歳であり、理想と現実の間には格差があるという結果などを紹介している。

本報告については、「長寿社会グローバル・インフォメーションジャーナル」Vol.1のトピックス記事「日本人の退職後の姿」でもご紹介(日本語)しています。
http://www.ilcjapan.org/foreign/gijpdf/0607_05_1.pdf

■デロイト社 Deloitte:英知による富−高齢消費者のニーズへの対応が鍵と分析

国際的複合企業であるデロイト社は、「英知による富−高齢消費者のニーズに応える」“Wealth With Wisdom: Serving the Needs of Aging Consumers”を刊行し、高齢人口の消費ニーズの変化と、それに関連した小売、金融、ヘルスケア、自動車、不動産、ホテル、などのビジネス需要について分析した。本書は、消費者が加齢に伴い影響をうける4つの重要な要素、生物学的、社会的、経済的、心理的変化を分析し、これらを把握することにより、企業は高齢消費者市場の製品、サービスなどのニーズに有効に対応できうるとしている。また、影響力を増し続ける50歳以上市場に最大限に対応するべく、自社製品を見直し、調整し、リニューアルすることを今すぐ始める企業こそが、消費者の裾野を広げ巨額の富を得ると考察している。
参照
http://www.deloitte.com/dtt/cda/doc/content/
US_CB_wealthwithwisdom_0106.pdf

■アイルランド:高齢者介護支出はEUの中で最下位−今後の支出増加を提言

社会的一体性と平等を促進する政策のための諮問機関として政府により設立された「全国経済社会フォーラム」The National Economic and Social Forumは、「高齢者介護サービス改正のための行動計画」を発表し、高齢者一人当たりの介護支出はEUの中でアイルランドが最も低いことを取り上げた。本書は、在宅および地域を基盤とする介護の促進と共に、高齢者のための介護支出を増やすよう求めている。また、社会での年齢差別の排除、国の政策における積極的な高齢化戦略の策定、介護の質の向上、介護提供者のニーズの認識等、政府による新たな高齢化戦略を提言している。
参照
http://www.nesf.ie/dynamic/docs/NESF%20No32%20PRESS%20RELEASE.pdf

■ジョセフ・ロウンツリー財団 Joseph Rowntree Foundation:スコットランドでの無料個別介護の導入結果を検証

「スコットランドおよび英国における財政的介護モデル」“Financial Care Models in Scotland and the UK”を刊行。本書は、スコットランドでの高齢者向け無料個別介護の導入と、英国におけるスコットランドを除く地域がこの先駆例から学べる点について分析し、介護提供者と高齢者の双方が体験した成功例と課題を検証している。本プログラムは概ね好評であり、支出見通しをわずかに上回ったものの、個別介護を受ける人の激増には至らなかった。スコットランドの先駆例は、英国の他の地域の社会介護政策に対し良い例となる、と述べている。
参照
http://www.jrf.org.uk/bookshop/details.asp?pubID=755

■韓国:高齢者雇用創出の計画を発表

韓国政府は、高齢化社会に対応すべく、高齢者を対象とする8万の仕事を創出するために1,000億ウォン(日本円で約120億円、2006年3月現在)以上を投資する計画を発表。環境保全、交通・駐車規制、保守管理などの様々な分野で高齢者を雇用する。また、政府は民間企業と連携し、高齢者向けに新たな仕事を提供する予定である。
参照
http://english.mohw.go.kr/index.jsp

ILCトピックス:高齢化に関する研究
■高齢化研究−運動は認知症予防に有効、と報告

内科学紀要 Annals of Internal Medicine 1月17日号によると、週3回以上運動をしている高齢者は、運動量がそれより少ない高齢者に比べて、認知症の進行が著しく遅くなる傾向があることが分かった。本研究は、65歳以上の高齢者1,500人余りを平均6.2年にわたって追跡したもので、ウォーキング、サイクリング、エアロビクス、ウエイト・トレーニング等の運動を15分以上している人は、認知症にかかるリスクが32%少なかった。この他にも、運動と認知症予防の間には関連性があることを指摘する研究が増えている。
参照
http://www.nia.nih.gov/Alzheimers/ResearchInformation/NewsReleases/
PR20060116Exercise.htm

■長寿−国立疾病防疫センター Centers for Disease Control and Prevention (CDC):死亡に関するデータを発表

CDCの全米医療統計センター National Center for Health Statistics は、「死−2003年データ」“Deaths: Final Data for 2003”を発表。本書によると、2003年の死亡数は240万人で、主な死因は依然として上位から順に心疾患、がん、脳卒中であった。平均寿命が、過去最高だった2002年をさらに0.2歳上回る77.5歳であったのは朗報である。男性の平均寿命74.8歳、女性80.1歳で、その差5.3歳は1948年以来最も狭かった。平均寿命は、男性、女性、黒人、白人のすべてで最高数値となった(黒人男性60歳、黒人女性76.1歳)。
参照
http://www.cdc.gov/nchs/products/pubs/pubd/hestats/finaldeaths03/
finaldeaths03.htm

NPOだより
■アメリプライズ・フィナンシャル社 Ameriprise Financial:退職への段階別心象を検証

Ameriprise Financial社は、Age Wave社とHarris Interactive社との共著「退職についての新たなマインドスケープ/心の風景」“The New Retirement Mindscape”を刊行し、退職についての考え方、不安、態度、抱負、ニーズを探る調査結果を報告した。本書によると、退職については次の5つの異なる段階があるという。
1)空想−退職の数年前から。退職後の目標やニーズについて関心を持ち始める
2)期待−退職が間近。興奮と不安を抱く
3)解放感−退職直後。興奮と安堵を感じる
4)新たな方向付け−退職後2〜15年頃。蜜月期が終わり、やや失望感を抱く
5)融和−大半の退職者はある程度満足し受け入れる。
本調査では、認識や感情のほか、各段階での経済的側面についての問題も検証されている。
参照
http://www.ameriprise.com/amp/global/sitelets/dreambook/docs/
mindscape-study-0106.pdf

■ボストン大学定年研究センターCenter for Retirement Research at Boston College

以下、新たな報告書数冊を刊行。
「経験的法則が示す退職リスク」“Empirical Regularity Suggests Retirement Risks”では、ベビーブーム世代は、消費好きで預金嫌いだが前の世代と同様に財産を蓄えていると分析。一見安心に思えるが、確定拠出年金の衰退、低金利による資本利益率の低下、寿命の延び、ヘルスケア支出の増大、といった4つの変化が世界ではおきており、退職後も今までと同程度の生活水準を保つためには、所得に対する資産の比率を高めることが必要だとしている。
参照
http://www.bc.edu/centers/crr/ib_41.shtml

「高齢者の労働参加促進のための政策」では、高齢就労者の潜在的な供給と需要を考察し、高齢者の労働参加促進のための諸方策を分析。国の退職者プログラムが逼迫しているため、高齢者がより長く働くことが必要となるが、高齢者を労働力として留めるには障害がある。62歳の人へのソーシャル・セキュリティ給付が可能であること(※2)や、企業側からすると高齢者雇用は割高となるといった事情、がその例である。高齢者を労働力として留めることは、労働者、雇用者双方にとって良いだろうが、それを実行できるかは明らかでない」と述べている。
参照
http://www.bc.edu/centers/crr/papers/wp_2006-2.pdf
※2:ソーシャル・セキュリティの受給年齢について
一般に、1963年以前生まれの人は、65歳以上から満額の退職年金を受給可能である(1964年以降生まれは、生まれた年別に満期退職年齢が遅くなる)が、早期受給制度として62歳から年金受給も可能である(ただし減額となる)。

「年金市場における『逆選択』は大きな問題か?」では、一般的に年金の効率性が低いことを指摘し、その重大な理由を、「逆選択」(年金に加入しようとする人は、そうでない人よりも長生きする傾向にあるため年金支出が引き上げられる)のために「保険数理的に公平でない」、とする考え方に疑問を投げかけている。本書は、保険数理的に公平な年金に加入することを検討している層に限定して考察することによってこの問題を再分析している。こうした「潜在的な年金受給者」に属する人は平均的な層の人々よりもかなり長寿の傾向があるので、平均的な人よりも年金受給額でかなり得をすることになるだろうと結論している。
参照
http://www.bc.edu/centers/crr/ib_40.shtml

■コモンウェルス財団 Commonwealth Fund:高齢化するベビーブーム世代に有効なメディケア政策を提言

2「高齢化するベビーブーム世代への健康保険適用−高齢者に関するコモンウェルス財団調査の結果」を刊行し、就労中のベビーブーム世代の健康保険適用の範囲と質について、低・中所得者を中心に検証した。ヘルスケア出費の自己負担分の上昇に比べて賃金の伸びは緩やかであるため、退職に向けた貯蓄が脅かされると指摘している。これは特に50〜64歳、つまりベビーブーム世代に当てはまる。彼ら一人当たりのヘルスケア支出は若年層の2倍を超えている。また、就労中の、あるいは就労中の配偶者をもつ50〜64歳の60%以上は、関節炎、がん、糖尿病、心疾患、高血圧など、少なくとも一つの慢性病をかかえていることが分かった。高齢化するベビーブーム世代はこうした健康問題に直面し、また保険への未加入や適用範囲が不安定であるため、適切な介護を受けることに対し障壁があることを説明している。本書では次の有効な政策をあげている。1)メディケアが適用されない費用のための貯蓄口座の開設、2)低所得者を対象とする税額控除付きのメディケアへの早期加入、3)障害者がメディケア適用を受けるまでの2年間の待機期間の撤廃。
参照
http://www.cmwf.org/publications/publications_show.htm?doc_id=340370

■企業福祉研究所 Employee Benefit Research Institute (EBRI):退職者プランへの参加状況を調査−退職後の備えの重要性を提言

報告書「退職者プラン参加と、退職者の生活水準についての認識」によると、すべての就労者のうちの半数強は現在の職場において、雇用を基本とする退職者プランに加入している。さらに、低所得就労者は、若年層、マイノリティ、短期就労者、女性、低学歴者、非組合員に多いこと、また中小企業で働いている人は概して、退職者プランへの加入率、加入資格率がともに低いことが分かった(給与削減プランへの加入資格率が低い大企業や公共団体の就労者は除く)。そこで、こうした層に重点的に取り組むことが、就労者が現役中に何らかの退職者プランに加わる機会を増やすための潜在的力になると述べている。本書は、退職に備えて万全を尽くすことは、就労期間中も退職後も、生涯にわたる努力目標だと結んでいる。そうしなければ、備えが十分でなかったり、健康を害したり、思わぬ大きな出費が発生すると、一生働かなければならないか、退職者は生活水準を著しく下げなければならないだろう。
参照
http://www.ebri.org/pdf/EBRI_IB_01-2006.pdf

■全米介護連合 National Alliance for Caregiving:家族介護者向け手引きを発行

全米介護連合は、「家族介護者向け介護の出発点」と題するパンフレットを発行。 介護の基本的な事項や問題点−介護の道のり、家族介護者の体験を通じての家族介護の基本、介護のヒント、介護者本人への気遣い、法律・経済面問題、相談窓口等についての情報が記されている。
参照
http://www.caregiving.org/pubs/brochures/CFC.pdf

 
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