ILC-USAは「女性に関する問題への積極的な取り組み:高齢女性のための支援団体および女性の一生涯を支援するファンド “A Proactive Approach
to Women’s Concerns: Women’s Longevity Groups and Funds”と題する冊子を刊行。著者は、女性(特に中高年の女性)の健康面においての地位、社会的、経済的地位の向上のために主導的な役割を果たした
Myrna I. Lewis Ph.D. (※1)。配偶者や子供との離別、経済的に安定するための計画の必要性、生きがいの追求等、女性が加齢とともに直面する問題について論じている。高齢女性のための支援団体および女性の一生涯を支援するファンドの創設を通して、こうした課題に積極的に取り組むよう提言している。
本著で提唱されている高齢女性のための支援団体は、人生における晩年は満足のいく、興味深い、意義のあるものになり得るものであるが、女性がこの時期をしっかりと自分でコントロールできるように努め、かつ、自分の人生を自分で決めているという実感を得ることができるような方策を提供するものである。こうした団体の全米にわたる活動は、女性特有の立場に対する意識を高めようと一致団結して行われた(1960-1970年代の)諸団体の活動など女性運動の黎明期を連想させるだろうと本著は述べている。
このような支援団体の概念は、既に様々な場で紹介され、好意的に受け入れられている。さらに本著は、一生涯を支援するファンドは有用であるとし、こうしたファンドによって、例えば、女性が自分名義の貯蓄をある程度確保すれば、将来に備えて自らの生活を設計することも可能になるのではないか、と述べている。
参照
http://www.ilcusa.org/pub/briefs.htm
1:Myrna I. Lewis 氏について
女性(特に中高年の女性)の権利擁護者として広く知られる。夫は、ILC-USA理事長のRobert. N. Butler氏。老年学研究者でもあり、ILC-USAに多岐に渡る貢献をした。−Myrna
I. Lewis 氏は、2005年11月ご逝去されました。
謹んでここに故人のご冥福をお祈りいたします。
米国のコンサルティング会社であるAon Consultingは、「年金指標」“Pensions Barometer”を刊行、EU15カ国(拡大EUになる前の加盟国)の年金状況を分析し、各国の年金制度の充実度について順位付けをした。それによると、ポルトガルが最も優れ、次いでアイルランド、オランダと続き、最下位はベルギーであった。本研究は、1)人口統計、2)公的年金の財政的ゆとりと持続可能性、3)公的年金の妥当性、4)企業年金の資産比率、の4点に焦点をあてている。
ポルトガルが1位となった要因は、高い経済成長率、就業年数が長めであること、公的年金に比較的ゆとりがあること、であった。報告では、雇用を基盤とするポルトガルの年金制度が、小規模ながら他の多くのEU諸国よりも優れていることも述べている。ベルギーが最下位となった要因は、低い経済成長率、移民数が極めて少ないこと、ヨーロッパの中でも公的年金制度が最も貧弱な国の一つであること、であった。
参照
http://www.aon.com/uk/en/about/Press_Office/pensions_map.jsp
英国の年金委員会は、公的年金制度に関する待望の報告書、「21世紀に向けた新たな年金の確立」“A New Pensions Settlement
for the 21st Century”(ターナーレポートTurner Report)を政府に提出した。報告では、公的および民間の年金が、英国における人口動向の変化や対して適切に対処するための詳細な包括的プランが提案され、また現行制度の不備が論議されている。現在の年金制度の基盤は民間資金であり、これに公的年金制度が組み合わされた形となっている(※2)が、こうした制度はますます不十分なものになるだろうと指摘している。このような問題は、単に、公的制度へのシフトや個人が自発的に年金貯蓄を増やすことだけでは解決できないとしている。
同委員会が特に勧めているのは、国民年金貯蓄制度(National Pensions Saving Scheme)の導入である。これは、現時点で充分な年金に加入している就業者をのぞく全員が皆自動的に加入させられる制度(米国の401K
のように任意加入ではなく自動加入であるが)で、脱退の権利は認められている。この制度での就労者の負担は5%、雇用主は3%とされている。
また同委員会は、年金を中心とした増税や、2050年までに退職年齢を68歳に引き上げることなど、公的年金をさらに充実した普遍的なものにすることを提言している。さらに、家族の介護などをするために休職してキャリアにブランクのある人々は現行制度では不利益を受けているが、彼らの地位向上のための対策や、定年の延長、退職についての柔軟な対策など、その他多くの重要な改革についても論じている。
参照
http://www.pensionscommission.org.uk./
※2:英国の年金制度について(補足)
英国の年金制度は公的年金への依存度が極めて低く、公的年金支出の対GDP比はEUの中でも極めて低い。これは80年代サッチャー政権下で公的年金を私的年金で代替する措置が採られ、その後も同路線で進められた年金改革に負うところが大きいといわれる。
米国国立高齢化研究所 National Institute of Aging:NIA は、年次報告書「アルツハイマー病についての経過報告」“Progress
Report on Alzheimer’s Disease”を刊行。これは、アルツハイマー病の原因やリスク要因、アルツハイマー病の診断、アルツハイマー病に関する治療や介護の問題、についてNIAが実施した、また支援した最新の研究をまとめたものである。
本書の「将来展望」“Outlook
for the Future”の章では、アルツハイマー病について、実験や臨床研究、政府間の協力や民間セクターとの連携を促進するために考案された研究構想に着目しているが、これは研究成果から患者や家族、介護者が実質的な効果をただちにうけられるようになることを目指している。
参照
http://www.alzheimers.org/pr04-05/index.asp
都市研究所 Urban Institute は、米国の高齢者の経済的保障に焦点をあてた報告書を数冊刊行した。
「退職後の経済的保障を支援するための就労期間の延長」“Working Longer to Enhance Retirement Security”では、平均退職年齢を引き上げることによって、いかにして生産力のある労働者層を拡大し、経済成長を促進し、就労者の生涯所得や退職貯蓄を増やすか、を論じている。
「ベビーブーム世代の定年はどのようなものになるか?」“How Will Boomers Fare at Retirement ?”では、ベビーブーム世代は上の世代よりも富を蓄積し、退職後の所得が増えるだろうと指摘している。それにもかかわらず、ベビーブーム世代が退職後も現在の生活水準を維持するには、今の時点で貯蓄を増やすか、定年を先延ばしにすることが必要であろうと述べている。
「今後、米国の高齢者の貧困率はどうなるか、またその要因は何か?」“What Will Happen to Poverty Rates Among
Older Americans in the Future and Why ?”では、長い年月の間に経済成長が貧困率をどれほど下げるかについて論じているが、大多数の退職者は現在の生活水準と比べると貧しくなるであろうと述べている。
参照
http://www.urban.org/publications/900896.html
監修:大迫政子(ILC-USAプロジェクト諮問委員)