ILC-USAは、報告書 「アーカンソーは高齢期を過ごすのによい場所か?」を発行し、人口の高齢化に伴うニーズや課題への対応策としてアーカンソー州で進められている高齢化関連活動について分析した。アーカンソー州は、他州と比較すると、高齢化が進み社会経済状況も多様であるが、1)多岐にわたる高齢者サービス、2)退職後の居住地としての高い評価、3)専門家や市民のための教育機会の提供、等の特長を持つと報告している。
アーカンソー州には、アーカンソー医科大学ドナルド・レイノルド・エイジング研究所(Donald W. Reynolds Institute on Aging
at the University of Arkansas for Medical Sciences)ほか、老年医学・保健分野の大規模な教育機関、研究所があり、臨床的な実践プログラムも充実している。さらに、「アーカンソー高齢化戦略」が開始され、各地域のエイジングセンターにおいて専門家が養成され、学際的な老年医学ケアが提供されている。
報告書では、アーカンソーの取り組みを、「高齢者とその家族、彼らが住む地域に対するサービス計画を推進するための公的資源および民間資源の統合」の一つのモデルとして評価すると共に、「人口の高齢化が高齢者のみでなく乳幼児から後期高齢者まで全ての人々に影響する、ということに焦点をあてている」と述べている。ILC-USAは、本報告書が、アーカンソーが高齢期を過ごすのによい場所であるかという検証のほか、将来どんな施策が役立つのかを探究する上で、重要な第一歩となることを期待している。
参照
http://www.ilcusa.org/pub/books.htm
※1:アーカンソー高齢化プロジェクトとは:
アーカンソーの名士であり、ILC-USAの役員であるJackson T. Stephens氏 の提唱で始められた健康についての政策研究プロジェクト。2004年晩夏〜秋に、高齢化の専門家、市民活動リーダー、ビジネス界リーダー、高齢問題に関心の深い市民などにインタビューを実施。高齢者とその家族、彼らが住む地域に対する公および民間が一体となってサービス計画を推進しているアーカンソーの取り組みについて調査・評価している。
CBO は、「年金給付保証公社ガイド(A Guide to Understanding the Pension Benefit Guaranty
Corporation」を発行。これは、連邦年金保険、年金給付保証公社の運営、今後10年の財政状況や展望などについての基本的な理解をしてもらうことを目的としている。
本書によると、年金給付保証公社は、ほぼ30年間にわたって年金保険を支給してきたが、その財政状態は極めて不安定になっており、特にこの数年の悪化は著しい。2000年には、予算局の資産は年金債務を100億ドル超えていたが、2004年末には、資産は年金債務を235億ドル下回っている。これは主として、いくつかの航空、鉄鋼会社の年金プランの積立不足についての責任を予算局が負ったためである。
本書は、「株式市場、長期利子率、年金プランのスポンサー (たとえば、企業)の積立水準、企業倒産率が、年金給付保証公社の将来にとってどれだけ重要な役割を果たすか」について論じているが、「十分な追加財源がなければ、公社が肩代わりしたプランに対して給付金を全額支払うことが近い将来不可能になるだろう」と危惧している。
また、予算局は「年金給付保証公社のリスク解明」と題する報告書を発行。連邦年金保険の市場価値を見積もり、将来の不足額を補う選択肢を検討することによって、年金給付保証公社の財政について米議会や市民が明確に理解できるような代替予算案を提示している。
参照
http://www.cbo.gov/
大統領生命倫理評議会は、報告書「介護―高齢化社会における介護の倫理的側面―」を発行。本書は、増大する介護の社会的問題に焦点をあて、自立が困難な高齢者を介護する際の倫理的側面についての手引きとなっている。介護者に求められる倫理上のガイドライン、および困難に直面した介護者を正しい判断へ導くための原則について論じている。また、「事前指示:advance
directives」、すなわち判断能力が失われた際にどのような医療を希望、または拒否するのかを意識が明確なうちに文書にしておくこと、の役割についても論じている。
しかし、介護に関わる問題は多様であり変化を続けるため必ずしも予め特定することはできないので、どのような文書も人間による介護の代わりにはならないと報告。さらに政策立案者に対して、包括的な研究を実施し、高齢化問題への関心を一層深め、適切な対応をするために、高齢化・認知症・介護に関する大統領委員会を設立する等の勧告を行っている。
参照
http://www.bioethics.gov./
社会保障庁は、「社会保障データ速報 2005年」を発行。退職者、遺族、障害者に対する社会保障および補足的所得保障プログラムについて基本的な情報を提供している SSAは、2004年に5200万人を超える受給者(内90%は65歳以上の高齢者)に支払いをしたことを明らかにした。この社会保障は、高齢受給者の65%にとっては総所得の50%以上を占める主要な収入源であり、高齢受給者の21%にとっては唯一の収入源であったと報告している。
参照
http://www.ssa.gov/policy/docs/chartbooks/fast_facts/2005/index.html
先進10ヶ国は、共同声明 「高齢化と年金改革―金融市場と経済政策への影響―」を発表。これは、高齢者の急増、年金制度の変化(民間の退職制度の増加など)、およびこうした変化が財政や経済にどのように影響するかについて次のように論じ、かつ提言している。1)政府は、現在は供給不足であるが将来は退職用貯蓄の促進・年金給付金の支給に役立つ金融商品を市場で展開・拡大するための支援を行うことができる。2)規制・監督の整備は、厳しいリスク管理、高い透明性、民間年金ファンドによる健全なガバナンス(業務運営の仕組み)等の動向に対し、影響力をもち、支援をするために行うべきである。3)個々の世帯へのリスクが高まる中で、年金受給者の保護は重要課題であり、金融についての教育や助言への努力が必要である。
参照
http://www.bis.org/publ/gten09.pdf
OECDは、カナダ、オーストリア、オランダの高齢化と雇用政策について報告書を発行。 カナダは他のOECD諸国と比べて、ゆるやかな高齢化や公的年金制度の質の向上、高齢者の労働市場状況の改善などから高齢化問題への対処が、より適切にすすめられている。しかし、依然として他のOECD諸国と比較すると高齢者の就労率が低く、雇用機会の充実が求められる。
オーストリアは、人口の高齢化と高齢者雇用において大きな課題を抱えている。1990年代半ばより、高齢労働者に対する政策面の変化は表れているが、雇用主と労働者など現場には余り変化がみられない。大多数の労働者は、法令による定年時あるいはそれ以前に退職している。
オランダでは、高齢者が就労を続けるための対策が熱心に推進されたが、高齢者の雇用率はOECDの平均を下回っており、しかも上位国と比べるその差は極めて大きい。高齢化が進行する中で、労働力不足と経済不振を回避するためになすべきことは多い。
各国とも、高齢者がより長く働けるよう、一層の努力が求められると提言している。
参照
http://www.oecd.org/about/0,2337,en_2649_34747_1_1_1_1_1,00.html
SSAは、「世界の社会保障プログラム:2005年 アフリカ」発行し、アフリカ40カ国の社会保障制度を説明。本シリーズは、各国の社会保障制度が個人、世帯、家族のニーズに対応するよう、研究者、政策立案者などに社会保障問題についての理解を深めることを目ざしている。
参照
http://www.socialsecurity.gov/policy/docs/progdesc/ssptw/
韓国政府は、急速な高齢化を支える事業を育成するための包括的対策を発表。高齢社会のための社会基盤や事業の整備を計画し、今後5年間に2457億ウォン(日本円で約265億円、2005年11月現在)を必要としている。政府は、高齢者を対象とする事業が国の経済発展の原動力の一つとなることを期待している。
参照
http://152.99.129.89/eng/news/press/Press_view.asp?num=3726&page=
4&table=eng_press& keyfield=&key=
英国の二つの研究機関が、国の年金改革への取り組みに関する報告書を発行。 ・年金政策研究所 Pensions Policy Institute −「年金改革論についての解説」を発行。有効な主要統計データを提供し、その分析を行っている。本書によると、国の年金受給年齢に達した女性のうち基礎年金を全額受け取っているのはわずか半数にとどまるが、男性では10人中9人が受給している。多くの労働者にとってこの年金は重要である点を指摘。制度の不公平に対処し、財政状況を好転させるために、なぜ改革が重要であるかについても論じている。
参照
http://www.pensionspolicyinstitute.org.uk/
・英国年金基金連合 National Association of Pension Funds (NAPF)−新たに提案された国民年金制度についての分析を報告。この年金制度は、年金受給者の貧困を緩和し、かつ、より明快なシステムを提供。このシステムによって、貯蓄が増え、費用効果が上がり、現行制度では不当に扱われている何百万人もの女性、介護者等が公平に扱われるようになる、とNAPFは述べている。この新たな年金制度によって、就労中のContribution (年金プランへの支払いの額)に関わらず全ての人に基礎年金を適用が可能となるが、定年は67歳以上に引き上げられる、と述べている。
Journal of Neuroscience 9月21日号に発表された研究によると、自由に運動している高齢のマウスは、ほとんど運動をしていないマウスよりも学習能力が高いことが分かった。高齢期になってから運動を始めたマウスでも同様の結果であった。また、マウスの脳の中の神経細胞を調べてみると、運動している高齢のマウスでは、運動によって神経細胞の生成が促されていることが分かった。
本研究はマウスに焦点を当てたものではあるが、これは、規則的な運動をすることによって認知面の健康が増進されるという(人間およびその他の動物に関しての)研究結果を裏付けるものである。
参照
http://www.jneurosci.org/cgi/content/abstract/25/38/8680
American Journal of Geriatric Psychiatry 7月号の研究によると、高齢者のうつ病は死亡率の上昇と関連することがわかった。1,000人の患者を2年にわたって追跡調査した結果、うつ病は心臓血管疾患や糖尿病と同様、死亡の一因であるとの結論に至った。高齢者の精神衛生が身体の健康にいかに大きく影響するものであるかを理解することによって、医師はより効果的な救命治療をすることができると報告している。
参照
http://ajgp.psychiatryonline.org/
AARPは、数冊の研究報告書を発行。その一つ、「ベビーブーマーとその上の世代についての中年期における財産比較」は、2001年時のベビーブーマーと、1983年時に同年齢(37〜55歳)であったグループとを、所得、純資産、不動産(主に持ち家)を差し引いた純資産、金融資産、について比較したものである。
上記の4つの指標によると、ベビーブーマーは上の世代よりも豊かな中年期を過ごしており、金融資産は約6倍、不動産を差し引いた純資産は2倍、純資産の総計では20%上回っている、と分析されている。平均収入の上昇は比較的ゆるやかで、$50,000から$56,000
への上昇に留まった。また、2001年時の白人以外の独身女性のベビーブーマーは、1983年に同年齢であった上の世代と比べて、純資産単独では下回っているが、不動産を差し引いた純資産では上回っていると報告。これは、両者の財政状況の中で不動産が占める位置づけに違いがあることを示している。
参照
http://www.aarp.org/research/financial/retirementsaving/
dd123_wealth.html
また、報告書 「高齢者の車の所有―本人以外が利用―」では、高齢者の所有する車を本人以外が利用するケースが増大していることについて全米にわたる調査結果を発表。回答者のうち10%は、配偶者以外の誰かが自分の車を運転しており、そのうち68%はその頻度が少なくとも一週間に一度以上だと回答している。実際に運転しているのは、大多数が息子・娘である。また、本人以外に運転を認める基準として、75%が安全性をあげている。
参照
http://www.aarp.org/research/housing-mobility/transportation/dd124_cars.html
報告書 「高齢化する米国のアキレス腱―メディケイド介護―」を発行。著者は、Center for Long Term Care ReformのStephe Moses氏。本来メディケイドは、貧困者がヘルスケアを受けるためのセイフティネットであるべきだが、自分で介護費用を調達できる余裕のある高齢者がナーシングホーム資金としてしばしばメディケイドを使用していると指摘。個人が介護費用を調達するためにメディケイドを利用できるといった「抜け穴」をなくすよう、米議会は求められている。
参照
http://www.cato.org/new/09-05/09-01-05r.html
メットライフ高齢市場研究所は、年次報告書 「ナーシングホームと在宅介護コストについてのメットライフ市場調査」を発行し、ナーシングホームとさまざまな在宅介護のコストに関する全米調査の結果を報告した。それによると、2005年のナーシングホーム個室の一日あたりの平均経費は$203、年間では $74,095、準個室は一日あたり $176, 年間では $64,240 となっている。一方、在宅介護サービスの場合は、訪問保健師アシスタント(Home Health Aides)への支払いは平均で一時間あたり$19、ヘルパーやコンパニオン(話し相手)(homemakers/companions)は一時間あたり$17となっている。
参照
http://www.maturemarketinstitute.com/
報告書数冊を発行。
報告書「低所得高齢者のためにテレビによる医療サービスを実施―将来想定される方策―」は、鬱血性心不全、うつ病、糖尿病などの慢性病をもちながら医療機関から遠く離れて暮らしているメディケア受給者を支援するための、テレビを利用した医療について論じている。さらに、最新技術の利用が増える中、こうしたテレビ医療について政策立案者や出資者が考慮すべき点を指摘している。
報告書「メディケアの個人プランの一考察」は、「Medicare Advantage」と呼ばれる、「メディケアの個人管理によるケアプラン」を推進する最近の取り組みについて検討している。このメディケアの役割を拡大しようとする取り組みは以前にも行なわれたが成功したとは言えない。しかし最近では、新しいMedicare
Part Dプログラム関連の利用者に対して、償還金を増額したり、プログラムに参加しやすいように工夫するなど、こうしたプランを積極的に市場に出すための取り組みが進んでいると報告。しかし、この新たな取り組みによって、メディケアが今まで個人プランの役割に与えてきた制約をなくすことができるか否かは、時を経ないと判明しないとしている。
報告書 「援助―高齢者への栄養面の支援―」は、極めて低所得の高齢者への食糧支援の取り組みが成功した例を検証している。この取り組みには、資格取得手続きの簡略化、申請書作成援助、食糧スタンプに代わる日用品受給の許可等が含まれる。
参照
http://www.mathematica-mpr.com/Press%20Releases/media.asp
NACは、報告書「米国の若年層介護者」を発行し、介護を担っている若年層について初めて分析を行なった。米国では、高齢者を介護している8〜18歳の若年層は140万人にのぼり、そのうち40万人は8〜11歳であると報告。こうした若い介護者の半数は男子であり、大多数は低所得世帯の子どもである。さらに、彼らには不安な態度やうつ病的な症状がみられ、問題行動をおこしがちであるが、反面、介護をしていない若年層に比べて、彼らは正当に評価されていると感じているとしている。
参照
http://www.caregiving.org/data/youngcaregivers.pdf
NCOAの長寿センター(Center for Healthy Aging)は、優れた身体活動プログラムの実践についての冊子シリーズ最新号 「高齢者の身体活動についての研究と実践の最新情報」を発行。これは、身体活動プログラム作成者に対し、身体活動および高齢者分野における最新研究や優れた実践に注目させることを目的としている。個別の学習計画を作成するためのステップを概説し、身体活動プログラム作成者が最新の研究や実践を学習計画に生かすための様々な手段や方策を提供している。
参照
http://www.healthyagingprograms.com/content.asp?sectionid=102
監修:大迫政子(ILC-USAプロジェクト諮問委員)